やまがた山菜ものがたり

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やまがた山菜ものがたり

春の山のお話

山の雪も解けて、山形にもあたたかな春が訪れました。東京からやって来たナツミちゃんと弟のシンくんは、おじいちゃんのハル爺から山菜採りに連れて行ってもらおうと楽しみにしています!

「こごみ」のごま和え

「あさつき」の酢みそ和え

「うるい」のお浸し

山菜を採るというのは、
自然の恵みを分けていただくことなんじゃ

ナツミ

わぁ~い、お天気もいいし、山の緑がキラキラしてるわ! 初めての山菜採り、わくわくしちゃう! 今日は何が採れるかしら?

シン

ボクも、お姉ちゃんに負けないくらい、山菜をい~っぱい採るぞ!

ハル爺

おぉ、ナツミもシンもはりきっているなぁ。お山も、二人が遊びに来てくれて喜んでいるようじゃ。山菜を採るというのは、自然が育んでくれた山の恵みを分けていただくことだから、自然に感謝する気持ちを忘れんようにな。
いまの季節は、わらびぜんまいこごみが出ているから、ゆっくり歩きながら探してごらん。最初は、なかなか見つけられないかもしれんがのぉ。

ナツミ

あっ、そこ! 頭を下げて、おじぎをしているように生えているのが、わらびかな?

ハル爺

そうそう、わらびだ。よく見つけたなぁ。根元のほう、手で無理なく折れるところから採るんじゃよ。手で折れないところは、硬くて食べられないから。

シン

ハル爺、これは何? 先のほうが丸くて、綿帽子をがぶっているみたいだよ。

ハル爺

それは、ぜんまいじゃ。ぜんまいこごみは似ているから、よく間違うんだ。ナツミもシンも、初めの山菜採りてにしては上出来じゃ。やっぱり、わしの孫じゃな。

「山菜」盛り合わせ

「たけのこ」の木の芽和え

「行者にんにく」の酢醤油

「うど」のくるみ味噌和え

ねまがりたけは、根元が雪の重みで
斜めになったまま地面から出てくるんじゃ

ナツミ

今日は山菜採り、とっても楽しかった! 採ったわらびは、すぐに食べられるの?

ハル爺

わらびは、山菜の中でも特に〝あく〟が強いんじゃ。だから、しっかり〝あく抜き〟をしてからでないと食べられないんじゃよ。大きめの鍋にお湯を沸かして灰や重層を入れ、火を止めてお湯の中にわらびをいれる。半日くらいおいて、あくが抜けたら、冷たい水にさらす。それを料理したり、保存したりするんじゃ。

ナツミ

知らなかったわ。昔の人は、山菜をどうしたら食べられるか、いろいろ考えたのね。

ハル爺

今晩は、ねまがりたけの味噌汁をご馳走するぞ。庄内地域の筍は孟宗が有名じゃが、このあたりは豪雪地帯だから、細い筍の根元が雪の重みで斜めになったまま地面から出てくる。それで、ねまがりたけというんじゃ。
それじゃぁ、ねまがりたけの皮むきを手伝っておくれ。まず、ハル爺が根元から縦に切れ目を入れて、先のほうを少し斜めに切るから、二人は切れ目を開いて皮をむいて、こうして中身を取り出す。わしも子どもの頃、よく手伝わされたもんじゃ。

ナツミ

おもしろ~い! あれ? でも、どこまで皮をむいたらいいのか、わかんな~い!  

ハル爺

ハッハッハ、硬い皮がなくなるまでむいたら、大丈夫だ。なかなか上手だぞ。

「ふきのとう」味噌

「行者にんにく」

「ふきのとう」と六條豆腐のお吸い物

山菜は和風の郷土料理と思うかもしれんが、
洋風の料理にしてもおいしいんじゃよ

ナツミ

わぁ、すごい! ねまがりたけがお椀から飛び出していてびっくりしたけど、このお味噌汁おいしい! やっぱりお手伝いした味は最高ね!

シン

ボク、ふきのとう味噌も大好き! ちょっと甘くて、ご飯と一緒に食べるんだ。

ハル爺

そうか、シンはふきのとう味噌が好きか。ふきのとうはよく天ぷらにするが、少し苦みがあって子どもは苦手だろうから、二人のために甘いふきのとう味噌をつくったんじゃよ。油で素揚げして、細かく刻んだふきのとうに、粉にしたかつおぶしと、玉子に味噌と砂糖をいれた玉味噌を合わせた。春の香りがするじゃろ?

ナツミ

ハル爺は山菜採りの名人だけど、山菜を料理するのも名人なのね。なんでも、おいしいもの。ねぇ、もっといろんな料理を教えて!

ハル爺

山菜というと、和風の郷土料理と思うかもしれんが、洋風の料理にしてもおいしいんじゃよ。たとえば、ナツミとシンも大好きなパスタもいいぞ。3種類ぐらいの山菜を茹でてあわせたら、山菜パスタの出来上がりじゃ。山のバジルのような香りがするしどけはトマトと相性がいいから、しどけをお浸しにして、そこにモッツァレラチーズとトマトを重ねてオリーブオイルと塩をかけると、大人の味じゃ。これはお酒にもあうから、きっとパパが喜ぶだろうなぁ。

「うこぎ」のり巻き

うどの花・うるいの花・かたくりの花……
山形には花を食べる文化があるんじゃよ

ナツミ

このご飯、刻んだ葉っぱが入っていて緑の色もきれいだし、とってもおいしいわ!

ハル爺

それは、うこぎご飯だよ。うこぎを茹でて少し水にさらしてから、硬くしぼって細かく切ったものを、炊き上がったご飯に混ぜたんじゃ。
このうこぎご飯は、いまでは春を告げる料理になっているが、古くから米沢地方ではトゲがあるから防犯になるというので生け垣に利用されたり、非常食にもなると植えられた。江戸時代、上杉鷹山公という偉いお殿様が、うこぎの垣根をつくるように勧めたそうじゃ。春先になると、次々と伸びてくる新芽を摘んで食べる。青物の少ない時期には貴重で、昔ながらの食文化が残っているんじゃなぁ。
食文化といえば、山形には花を食べる文化があるんだよ。二人とも、秋にもって菊のお浸しを食べたことがあるじゃろ。春には、うどの花の花の天ぷらがおいしいし、かたくりの花・うるいの花・にっこうきすげの花・かんぞうの芽も食べるぞ。 

シン

ねぇ、ハル爺。この前の緑色のスムージー、おいしかった。また、つくって!

ハル爺

あれは、こごみとバナナ・ほうれんそう・キウイ・レモン・牛乳でつくった、ハル爺特製のスムージーじゃ。よし、明日のおやつにつくってあげような。

「ゆりね」饅頭

山菜の天ぷら

「うこぎ」ご飯