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株式会社河村式種菌研究所
──会社を設立したきっかけは何ですか?
父が以前勤務していた酒田市にあった「(株)河村食用菌研究所」を退社し、独立して会社を設立したのがきっかけです。昭和42年7月に創業し、現在58期目の事業年度で山形県ではきのこ種菌の製造・販売している唯一のメーカーになります。
──きのこの栽培において最も重要な要素は何ですか?
培養基(培地とも云う)が栽培するきのこに適当かどうかと、培養環境及び発生環境が重要です。特に、温度と湿度やガス濃度コントロールが大事です。
培養基(培地)とは、微生物のすみかになるものです。原木栽培では原木であり、菌床栽培ではおが粉と米ぬか等の穀物残渣を混合したものに一定の水分を含むことが必要ですが、栽培しようとするきのこの種類によって適正なものにする必要があります。
──種菌の開発プロセスについて教えてください。
種菌を作る最初は天然に発生するきのこです。栽培目的にあった種菌を開発するには突然変異株を作成する場合もありますが、ほとんどはきのこが作る胞子から1核菌糸体を作成し、交雑した2核菌糸体を増殖させ、試験栽培するなかから育種目標にあった菌株を選抜する育種方法です。
きのこの菌糸体は糸状の菌糸細胞ですが、胞子から形成された菌糸体は隔壁により閉ざされた細胞内に1個の核をもつ「1核菌糸体」と1核菌糸体と1核菌糸体が細胞融合を起こした「2核菌糸体」が存在します。胞子由来の1核菌糸体はきのこを作らず、きのこを作るのは2核菌糸体です。
肉厚やうまみは遺伝子によって全然違ってきますので、常にいい品種を作ろうと努力しています。また、品種分けについては形質の他に、発生温度が大きな要因になっています。
──きのこにはどのような健康効果がありますか?
健康に効果があると科学的に分析されているのは、ほとんどのきのこはノンカロリーであり肥満の原因にはならないことと、食物繊維を多く含みファイバーフーズであり、人の健康維持に良いものということです。その他科学分析されている機能性は多糖体のβグルカンを多く含むきのこの抗腫瘍性や抗酸化機能やコレステロール低下作用等があります。
──おすすめのきのこの種類や料理法はありますか?
香りに特徴があり好き嫌いがありますが、機能性物質が多いタモギタケやブナハリタケ(山形地方では、カノカ)やムキタケの炊き込みご飯がおすすめです。特徴のある香りが微香性でとても美味しいです。また、ナメコなどは生のまま急速冷凍して、食べるときに凍ったまま鍋にいれ入れて調理するのがおすすめです。冷凍によって菌糸の細胞破壊が起こり、グアニル酸といううまみ成分がよく出るようになります。
──近年のきのこの人気や消費に関するトレンドについてはどう思いますか?
海外が原産地のエリンギの栽培も加わり、多種のきのこが栽培され消費されている現状ですが、飽食で肥満に悩む人も多い現代においてほとんどノンカロリーでファイバーフーズであり、機能性物質が多いきのこはますます消費拡大されていくトレンドにあると思います。
──競争が激しい市場で、どのように差別化を図っていますか?
きのこは栽培方法や栽培環境(特に発生環境)によって形質や特有の味がかわるので、少し価格は高くても「美味しいきのこ」を栽培することで差別化を図るようにすすめています。
菌床栽培にシフトしてはいますが、味や安全面でも優位な原木栽培にずっとこだわりをもっています。やはり原木栽培は全然味が違います。
──お客様からのフィードバックやリクエストにはどのように応えていますか?
顧客からのきのこ栽培技術や、きのこの発生状況や品質情報のフィードバックは大変役に立つ情報ですので、常に大切に会社の経営に取り入れています。また、顧客のリクエストも大切なニーズなのでなるべく答えるよう努めています。
──環境に配慮した取り組みについてお聞かせください。
きのこ種菌の製造には木質のオガコと穀物残渣と水しか使用しないので、環境負荷はないのですが、原木栽培する人が種駒菌を接種した後に種駒菌が入っていたプラスチック瓶を栽培地内に捨てる人がいました。プラスチッック瓶からプラスチック袋に変えたことにより、楽に回収し焼却処分ができるようになり、少しは環境保全に寄与したと思っています。
──今後のビジョンや目標は何ですか?
消費者のトレンドやニーズに先取りしたきのこの生産に対応した種菌の開発と、栽培技術の改革をすすめていきたいです。
──きのこ栽培業界における最近の技術革新について、どのように考えていますか?
今まで国内で栽培されていなかったきのこを栽培できるようになったことは、きのこ業界のバリエーションが拡大し消費者にとってもきのこ消費のバリエーションが広がり、食生活にも寄与したと思われるのですが、このところ大きな技術革新はない状況です。
将来考えられるのは、特定機能性食品やきのこの特定物質から作った医薬品の開発を期待したいです。また、きのこから作った「代替肉」等の開発がすすむと予想されます。
株式会社河村式種菌研究所 代表取締役
きのこ栽培用の種菌の製造・販売を行うほか、栽培者への技術指導やきのこ栽培に関する講習会の講師も務める
https://pwtokusan.co.jp/